下町スプールでのキャスティング その2
前回のテストにて、17エクスセンスDCユニットにて不安定になったXPモードを補正するべくブレーキ・リングを取り付けてみました。
ネットを見る限り、自分がブレーキリングの必要性を感じたように、様々なベイトキャスターがブレーキリングの取り付けを試行錯誤されています。
やはりテストしてみた結果、17エクスセンスDCユニットを使う限りブレーキリングは必要だと思います。
下町スプールの詳細については下記を参照してください。
ブレーキリング・アタッチメントの設計~製作
17エクスセンスDCユニットを使う限り、ブレーキ力を補うためにも、ブレーキリングの装着を免れませんでした。
DCMDユニットをご利用の方はブレーキリングは無くても、ブレーキ力がマイルドになるので、そちらの方が扱いやすいのではと考えています。
真円度が高くて、かつ強度が強い、軽く、加工もしやすい素材は無いものかと...
直ぐにピンときたのは、ドライカーボン・パイプでした、これしか無いと確信して部材発注を行っていました。
国内のメーカーだと結構良いお値段なので、コスパに優れる中華製カーボンをチョイスしました。
中国からの海外便だった為に、到着までに幾分時間が掛かってしまいました。
径と厚さの異なるドライカーボンパイプを二組用意して切断(mm単位で切るのが難しい)、断面を綺麗に研磨すれば、寸法精度が良いので、きっちり差し込めます。
外れない様にエポキシで接着すればアタッチメントの完成です。
内側にブレーキリングを挿入すれば完成です。
ブレーキリングとのクリアランスもきっちりしていて、ズレることも無くきっちり納まりました。最終的には 1.82gになりました。
もっと軽量化(1.62g)した物も作成しましたが、取り付けに少し不安定なので、高さを少し増やした結果 0.2g増になりました。
アタッチメントの取り付け方法
アタッチメントは、調整の為に取り外しができるように、粘着剤を使用する事にしました。
粘着剤は、StreamDriverさんに教えてもらった、セメダインBBXを購入。
BBXの詳細や特性は業務用ページに記載されています。
ブレーキリングとアタッチメントの接着(仮固定)にもこの粘着剤を使用しています。
セメダインBBXをアタッチメントの下側に塗って30分位放置して乾燥後、Revスプールに差し込みました。
この時、取り付け時にブレーキ・リングがマグネットに引き寄せられるので中心が出しにくく、Revスプールに接着しているマグネットを再び取り外し、センターが出る様に中心にブレーキリングを取り付けし、ガタが出ないか確認します。
あくまでも調整用の為に取り外しできるように、仮固定しているだけだったのですが、思わぬ作用が...
PEラインを巻くと、Revスプール中心部の8カ所のブランキング穴からはみ出たラインが、ブレーキリング・アタッチメントの外周を固定する役目を果たし外れなくなりました。
アタッチメントの脱着に、ラインを抜き取る手間が掛かりますが安定した固定が出来るので良しとします。
家では DAIICHISEIKO リサイクラーDSフル装備を使っているのでラインの巻替えは簡単なのですが...
カーボンとは言え、ある程度の重さ(比重 1.5~1.7)があるので少しでも軽量化の為に、ブランキング(8穴)する考えでしたが、この作用の為に断念しました。
最大3万RPM(回転/分)を超える速度でスプールが回りますから、素材や製法にはこだわって製作したつもりですが耐久性は保証できません。
なお今回の記事に関し、上記回転数を保障するものでも無く、オススメする内容でもありません。
万が一外れた場合リールが壊れたり、ケガをする恐れもあります。
(3万9千RPM回るとなると、瞬間時速は約 270km/hにもなります。)
※ スプールの改造は、事故責任の上で行って下さい。万が一の場合でも当方は責任を負いません。
カーボン造形できる3Dプリンタがあればどんなサイズでも製作可能なのに、高価(250万~1,000万)な3Dプリンタは持ってませんし、カーボン・フィラメントも高いし...
あぁ...これがあればルアーも出来ますよね~、絶対に買えませんが(笑)
スプールにブレーキリング・アタッチメントをセットして組み上げです。
前回の15.0gから 16.86gになりましたが、DCユニットの安定化につながりますね。
ライン巻いた状態で、DCMD純正スプール比で 5.9g軽くなってます。
使用したロッド
- 18 WorldShaula 17114R-2
今度こそ、4パワーで全力で投げれます。
ルアーのキャスト
EXSENCE DCユニット
- PE #1
- XP#2~#1
テストは出勤前キャスティングで、ブレーキリング無しではピーキーだったXPモードが使えるのかを確認。
本気では投げにくいパックロッドでも余裕の 100m超え
無風の状態だと XP-#1だと糸浮きが出て高速バックラしますが、XP-#2だと糸浮きが出てもきちんと補正され、いつものDCブレーキらしいキャスティングができました。
ただ、ほんの少しブレーキが少し利き過ぎているのかなぁ...と感じたので、セッティングを微調整して Ver1.0アタッチメントの完成としました。
前回中断したルアーとシンカー
この日は微風で向かい風の状態、寝過ごして早朝から行けず予定もあったので、色々試したかったのですが、ジグのみ投げてみました。
- シマノ コルトスナイパー TGピットブル (29g)
三投平均で 110.9m
ワールドシャウラ17114Rだと硬すぎですね。
- シマノ コルトスナイパー TGピットブル (40g)
三投平均で 120.9m
この位の重さからロッドが曲がっている実感があります。
- FUJIWARA カラーシンカー ナス 8号 蛍光
FUJIWARAって小沼さんのZAMSリリック作っているメーカーさんですよね。
初めてホームページにアクセスしてみました。
Fishman代表の赤塚さんが 「BRIST MARINO 106MH」で100mチャレンジした時に使っていたシンカーです。
自分の住んでいる地域では取り扱っている釣具店がなかったので、ネット通販で取り寄せました。
頑張って投げてみましたが...
ブレーキリングを実釣に合わせ、少しマイルドな方向に調整したのもあるのか、思ったほど飛距離がでませんでした。最長で 110.3mでした。
後、ワールドシャウラ17114Rの4パワーでは、30g程度のウェイトではロッドを曲げこんで投げる感覚が乏しいですね。
Revスプールの評価
軽量になったスプールでの飛距離に大満足です。
一言でいって、下町ロケット
最終的に純正比較(PE満タン)で、約5gも軽くなったスプールから弾き出される弾道が、低くて真っすぐで終盤に伸びていく感覚がすごいです。
世のベイトキャスターたちがスピニングを使わなくなる感覚が良く分かります。
投げてみて、スピニングタックルを凌駕してると実感できます。
実釣でも使って見ましたが、軽くなった分アキュラシーは良くなりました。
橋桁の中もラインが浮かず綺麗に投げ込めます。
スプールが軽いので、ノーサミングで着水させても、バックラッシュがかなり少なくなってナイトゲームでも快適に使えます。(ホゲたので魚は釣ってません。)
ジグやシンカー等は、18アンタレスDCMDユニットは適度にブレーキが弱くなり使い勝手は上がりました。
回転しやすいジョイントベイトを投げると制動力が足りず飛距離がでませんが、まあスプール剛性を下げてまでジョイントベイトは投げないので、このケースは純正スプールとDCMDユニットを使います。
下町スプールの価格
正直に言いますが、このスプール結構良いお値段がします。
Revスプールの価格が公開されていました。24,000円(税別)です。
取り付けるためには、マグネットを移植する為に【Revスプール + 純正スプール】の値段になります。
DCMD純正スプール(9,200円(税別))を流用すると 合計: 36,520円(税込み)になります。
軽く中堅のベイトリールが購入できる位の金額になることを覚悟してください。
マグネットだけ利用したい場合は、DCブレーキリール最安値のSLX DCのスプールから流用できるので、少しはコストカットできると思います。
Revスプールの初回ロットは80個出荷されたそうなので、発送前位からオークションなどの中古市場からアンタレス三兄弟のスプールが消え去りました。(自分はかろうじて1個Getしました。)
ブレーキリングを取り付けるには、先行テストされているベイトキャスターさん達のブログやSNSを見ていただくのが手っ取り速いと思います。
自分のやり方ではコスパが悪るいかも知れませんね。
DCブレーキユニットの凄さ
今回の改造で試行錯誤するうちに、シマノの設計の凄さに驚かされました。実にきめ細やかにDCブレーキの設計をされてます。
汎用機から、高級機まで差別化できるように一つ一つのパーツがこと細かく設計されています。
はっきりしたのは 18アンタレスDCMDは、やはり汎用リールだったと確信が持てました。
ブレーキが強めに掛かるようなデチューンが細部に見られました。
ビッグベイト(ジョイント系)投げるのには、最適なベイトリールなのにね。
「DCブレーキ道」奥深しです(笑)。
振り返ってみて
しかし、サワラボイルに届かなかった屈辱から、EXSENCE DCユニット換装に端を発し...
Revスプール
今回の材料を含め、18アンタレスDCMD XD がもう一台買えるくらいの投資をしている事に気が付きました。汗...
今回の改造中に更に恐ろしい魔改造が、頭を過ってしまい...また散財しそうです(笑)。
世界で初めての、カスタムDCスプールが個人の発想と努力によって発売になりました。
応援する意味で、この企画に乗っかってみましたが...
ネット界のベイトキャスターの方たちともお知り合いになれたし、なによりワクワクして非常に楽しかったです。
今回の実験を踏まえて、DCユニットでPE用の制御の仕方も確信が持てたので、少し踏み込んでみた var2.0スプールも機会があれば公開します。
18アンタレスDCMDに飛距離を求めて試行錯誤し、ついに究極の軽量スプールに出会う事ができ、スピニングタックルを凌駕する飛距離を手に入れ、投げるたびにワクワクする経験はプライス・レスですね。
次は、19アンタレス用のスプールの完成をお待ちしています。
物欲は続く...
ただ...
ベイトタックルでひたすらぶん投げていると、赤シャウラ 17113R-2が欲しくなりますね。
手持ちのツアーエディション1753Rだとパックロッド特有の継の多さとテーパーが変わる違和感があり、全力で投げにくく、飛距離が出せないと感じます。
2パワー(Max30g)だと少し弱く、4パワー(Max80g)だと強すぎるんですよね。
4パワーだと投げられる気持ちいい領域が50~60gとかなんで...
赤シャウラ 17113R-2 は高弾性*1なので、2パワーより強く、他の 3パワー(Max40~50g)より弱い(Max35g)設定なので投げるサイズのルアーにジャストフィットなんですよね...
2021年はシマノ100周年なので、スパイラルXコアに ナノアレイ® 55t (M55X?)をバットセクションに使えば New 17113R が出来そうなんだけど、シマノさん作ってくれないかなぁ
*1:自分の記憶が確かなら ティップセクション 30t / バットセクション 50tカーボンがメインのブランクス